在宅介護の現状として、多くの場合、家族がメインの介護者となり、その大多数が女性です。女性の社会進出が進み、社会的な地位がある女性が増えてきています。それでも、男性よりも親の介護のために仕事を諦めることが多いのが女性の現状のようです。
介護される側の視点では、女性の方が細かいことに気が付きやすい、身体的な介護がやりやすいというような利点は確かにあるかもしれません。ですが、介護を担うことになった女性は多くのことを犠牲にすることになります。
まず、よくある悩みあるあるとして、気軽に外出ができないことが挙げられます。ヘルパーさんなどがいる時に、日常生活に必要な買い物をするだけで精一杯で、自分のためのショッピングや外食、旅行などは難しいようです。家族を介護することに責任感を持ちすぎて、美容院に行くことさえ罪悪感を覚える女性もいます。
次に、介護が終わってからの社会復帰のための未来設計が難しいことも挙げられます。いつ終わりが来るのかわからない介護において、明確な予定は立てられません。職場に復帰したいと思っていても、はっきりとした復帰時期を伝えられないことで、結果として退職してしまうケースも少なくありません。
外出ができず社会との接点が減少し、社会復帰の目処も立たないことは多くの女性介護者の悩みとなり、時には心身の不調をきたすこともあります。女性介護者の心身面のケアを丁寧に行い、共倒れを予防することもプロの介護者に求められる要素となっていくでしょう。また、働きながら家族の介護を行っている女性もいます。もし職場で介護休暇の取得が可能であればためらわず活用しましょう。介護と仕事の両立を図るためには、働く女性が介護問題と向き合っていく方法を探ることも大切です。